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夢叶うサードプレイス

【誕生秘話vol.7】ストーリーづくりでドツボにはまる、の巻

 

 

 

プロジェクトのメンバーと話し合ったのは、絵本をどんな人に読んでもらいたいか。ターゲットは、幼稚園、保育園、小学校低学年くらいまでの子供とその保護者。小さな子供でも理解しやすいように、テンポよく読めるように、短い文章にする。

しかし、ストーリーづくりを開始してから、またもや、大きな壁が立ちはだかった。第一稿を見返して、愕然となった。「なんなんだ、この小学生が書いたような文章は……!」。とても商品として表に出せるようなシロモノではない。わたしはこの時点まできて初めて、重大な事実に気づいた。ふだん仕事で書いている雑誌や新聞の文は、主に1000字を超える長文の記事。物事を丁寧に説明するのは慣れているが、わずか数十の文字で完結する短文は経験がない。いつもどおり書いたあと、制限文字数に合わせて短くしたら、ただ事実を羅列しただけの「小学生のような文」になってしまったのだ。長文ができるなら短文もいけるなんて、なんと浅はかな考えだったのだろう。ひとことで文章と言っても、長文と短文は、まったく「別もの」。たとえるなら、同じ球技でも、サッカーとテニスが別ものであるように。サッカー選手が、ある日突然テニスの試合に出るのは難しいだろう。そうは言っても、ここまできて放り出すわけにはいかない。とにかく前に進もう。第二稿→ぜんぜんダメ。

第三稿→もっとダメ……。そうだ、方法が分からないなら、勉強すればいい。

『絵本のつくりかた』『絵本ABC』→マニュアル本は眠くなるzzzzzz……

名作絵本の文章を研究→美しい言葉、絶妙な音のリズム、すばらしい……

 いやいや、人の文章に感心している場合ではない。だんだん焦りがつのってくる。完全にドツボにはまった。メンバーをはじめ、いろいろな方に意見をいただきつつ、書き直しを重ねること30回以上。ギリギリになって、やっとこさ完成にこぎつけた。