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自分が今、どの位置にいて、全体像はどうなっているのかを考える――  安斎隆(セブン銀行特別顧問)

日本経済新聞2018.8.5(日)日刊 「私の履歴書

 

 セブン銀行特別顧問の安斎隆さんは、高校時代に山岳部に所属し、山登りを通じて、一生の指針となる大切なことを学んだのだそう。

 「気分が良いのは、やはり頂上に着いたとき。山の上から眺めると、周囲の全体像が見えるからだ。登っている最中も、地図があれば自分のいる場所をちゃんと特定できる。この先500メートル進んだら、どんな地形になるか、予測できる。

 自分が今、どの位置にいて、全体像はどうなっているかを考える――。山登りで身につけた姿勢は、人生そのものの姿勢となって意識の奥深くに根を下ろしている」

 子供のこと、自分のこと、親のこと。いろいろな問題で嵐の渦中にいるときは、つい目の前のことだけにとらわれて、視野が狭くなりがち。どうにかしようとやみくもに動いて、ますます深みにはまったり、逆に立ちすくんだまま動けなくなったり、誤った判断をしてしまうこともあるでしょう。

 いったん目の前の問題から離れて、地図を確認して、「全体像」と「今いる位置」を確かめる。そうすれば、今は大嵐だけど、もう少し行けば青空が広がること。頂上までいろんなルートがあること。頂上までたどり着けば、すばらしい見晴らしが望めること。今の状況は変わらなくても、視野が広がるだけで、見える景色はまったく違います。

つい近視眼的な見方をしてしまいますが、日ごろから広い視野で物事を見るように心がけたいです。