ゆめカフェ

夢叶うサードプレイス

強みを生かしてチームの勝利に貢献する

2023/08/21 

掃除をしようと新聞をビリビリ破いていたら、ふとある記事が目にとまった。早稲田大学ラグビー部元監督の中竹竜二さんの連載※。これまでの人生を振り返る内容で、引き込まれるように熟読した。日本オリンピック委員会のコーチ育成メンバーであり、経営リーダーを教育する会社のCEOでもある中竹さん。目標に向かってチームの一人ひとりが何をなすべきかを考え、主導的に動く組織へ導く。その手法が注目を集めた。早稲田大の監督時代は、自分の強みや弱み、こだわりは何か。プレーヤーとしてどんなスタイルを確立したいか。1対1の面談で質問し、チームの一人ひとりが個性を発揮できる道を引き出した。


注目を集めたその手法よりも何よりも、私が興味を持ったのは、逆境をプラスに変換する能力。転んでも決してタダでは起きないのである。たとえば、小学校のラグビークラブで足が遅かったためタックルを磨き、それが後に彼を助ける武器になる。高校のラグビー部で夢破れ、不完全燃焼の思いを原動力に早稲田大に進学。ヨーロッパに留学した時は完全アウェーの環境だったので、居場所を見つけようと地元のラグビーチームに入り、得意のタックルで貢献して地域になじむ。ついでに、この時の経験をベースに大学院の修士論文を完成させ、後に独自の教育プログラムに生かす。会社で希望の部署に行けなくても力を蓄えてチャンスをつかむ。このように一見困ったことも、中竹さんの手にかかれば、くるっと180度まわってラッキーなことに変身してしまう。その手腕は、おみごととしか言いようがない。

 

今まさに、アウェーまっただ中の私はこの記事で一つのヒントを得た。強みを愚直に繰り返すこと。それしかない。中竹さんのタックルは、私にとって何か。小さいころから磨いてきたものと言えば、やはり文章だ。今の現場で文章力は活かせないと思っていたが探せば何か方法があるかもしれない。やみくもに書くのではなく、試合の場で生かす。文章を書くことでチームの勝利に貢献するにはどうしたらいいのか。ライターとして個人プレーを得意としてきたが、もっと大きな夢を叶えるには、チームプレーを学ぶ必要がある。そんなことを考え始めた。


ちなみに、直接の面識はないものの中竹さんは高校の同級生である。新聞の写真を見て「あれ、この方どこかでお会いしたような、、」と目にとまった。「なかちゃん頑張っとるばい」と友人には聞いていたが 、この記事を読んで、まず人間的な魅力に惹かれた。北九人のあったかいハートと、かつ燃えるような情熱がある。ぜひいつかお会いしたいものである。

おっと、寄り道が長引いてすっかり掃除を忘れてた。


日本経済新聞2023年8月18日(金)「人間発見」日本一オーラのない監督⑤