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【絵本誕生秘話vol.2】地域の歴史をテーマにする、の巻

夢見ヶ崎動物公園を舞台にした絵本を制作するにあたって、まず思い浮かべたのが、ニューヨークの動物園を舞台にしたテレビアニメ『ペンギンズ』。個性豊かな動物たちが繰り広げるコメディータッチのファンタジーだ。このストーリーのように、夢見ヶ崎動物公園の動物たちを主役に、園内で起こる出来事を描いた物語にしようと考えていた。

 

 ところが、公園のことを調べていたある日、興味深い事実を知った。それは、動物園がある加瀬山に、古い時代の古墳がいくつもあること。「古墳の上に動物園!?」。かなり衝撃を受けた。

 

 この地には、はるかかなたの歴史と現代が同居している。わたしには、夢見ヶ崎動物公園に集う親子と、1600年前の豪族の親子の姿が重なって見えた。その映像が目の前にあらわれた瞬間、霧がかかってぼんやりしていた視界が、突然ぱあっと開けたような、そんな感覚があった。

 

 この地に埋もれている歴史を掘り起こして、物語にすることはできないだろうか。編集者の友人に相談すると、こんな返事がきた。

 

 「『ちいさなおうち』のように、この場所が形を変えながら、地域を見守り支えてきた、ということが伝わるといいですね」。

 

 なるほど。「地域の移り変わり」をモチーフにした物語か。いいな、よし決まった。こうして、歴史をテーマにした絵本作りがスタートした。

 

※『ちいさいおうち』  

アメリカ合衆国の絵本作家、バージニア・リー・バートンの代表作。静かな田舎町にたつちいさいおうち。やがて道路ができ、高い建物がたち、周囲がにぎやかになっていく‥‥というストーリー。